通称気絶山羊とも呼ばれるFainting goatはとてもユニークな
特徴をもった山羊です。
気絶山羊はその名の通り、驚くと気絶したようにひっくりかえってしまうのです。
正確には筋肉が反射的に硬直してしまうだけで、意識は保ち続け、痛みもありません。
草を食べている気絶山羊を脅かすとその場で硬直し、時にひっくりかえったりも
しますが、10秒もすると何事も無かったかのように草を食む仕事に戻ります。
この現象は先天性ミオトニー(筋緊張症)と呼ばれるもので、稀に人間にも発生します。
気絶山羊は遺伝的にこの病気を抱えており、品種自体の特性になっています。
気絶山羊の誕生の経緯は謎に包まれています。
現在のところ、有力とされている説は二つあります。
一つは、1880年代に一人の農夫によって持ち込まれた四匹の山羊がもとになったという説です。
1880年代初頭、ジョン・ティンズレーという農夫がカナダのノヴァスコシア州から
「聖なる牛」とともに四匹の山羊をテネシー州に持ち込みました。
ティンズレーの持ち込んだ「気絶する山羊」はたちまち話題になり、メイベリー博士の興味を
ひくこととなります。
メイベリー博士は交渉の末四匹の山羊を36ドルで買い上げ、繁殖させました。
長毛の固体からはカシミアが採れ、先天性ミオトニーの作用で筋肉量が多く、繁殖スパンの短い
気絶山羊は家畜として非常に優秀で、たちまちアメリカ南部に広まっていきました。
その一部が野生化し、アメリカの在来種のひとつとして定着するに至りました。
もう一つの説は、1885年頃、ある山羊の群れに突然変異が起きたというものです。
夢もへったくれもありません。
気絶山羊は度重なる選択交配や品種改良のためにとても豊富なバリエーションを持つに至りました。
体の大きさや色、模様、毛の長さ、そして角の形まで、実にフリーダムです。
気絶山羊の特徴としてはミオトニーの他にも、張り出していて比較的前向きな目が挙げられます。
耳はスパニッシュ種と同様に地面とほぼ水平にのびます。
固体によって耳の「折りたたみ具合」は様々ですがヌビアン種のように垂れ下がりすぎることはありません。
性格は大人しく従順で、ペットにも適しています。
持病のせいで崖のぼりやジャンプは得意でなく、フェンスなどを飛び越えて脱走することもありません。
みんな大好きテネシー気絶山羊はとてもポピュラーな種で、動画や文献なども数多く上がっています。
詳しくは下にまとめたリンクを参照してください。
最後に、笑いの神様である(と個人的に思っている)山羊たちの「ズッコケ担当」テネシー気絶山羊の
見事なズッコケ具合をご覧ください。
http://floridameatgoats.com/HistoryOfMyotonics.htm
http://en.wikipedia.org/wiki/Fainting_goat
http://www.ansi.okstate.edu/breeds/goats/myotonic/
http://albc-usa.org/cpl/tenngoat.html
http://www.goatspots.com/description.html
http://moonhavenfarm.com/mytonics.htm
http://www.hobbyfarms.com/livestock-and-pets/myotonic-goats.aspx